活字と猫と、財布の穴と。

脳は同時に4つのことしか覚えていられない。マジカルナンバーは4か7か。

 

りんご・消防車・人参・えんぴつ・スカート・ひまわり・ダイビング

 

一度読んだだけで、あなたは何個覚えられますか?(・∀・)

 

 

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アメリカの認知心理学ジョージ・ミラーさんが発表した「マジカルナンバー7±2」という論文があります。

 

実験の中でミラーさんは

短期記憶で、瞬間的に人間が覚えられる記憶容量は7つ(人によって5~9)という発見をしました。

言い換えると

8個以上のことを一度に覚えるのは難しい、とも言えます。

 

 

「マジカルナンバー7±2」

覚えやすいもの、覚えにくいもの。

 

この覚えられる容量には「チャンク(=意味を持った情報の塊)」という単位がついています。

ミラーさんが唱えたのは

短期記憶で瞬間的に人間が覚えられる記憶容量は7チャンクということ。

7個と7チャンク。その違いは…

 

例えば「金時人参(にんじんの一種)」で見てみると

「き・ん・と・き・に・ん・じ・ん」と一文字ずつ知覚すれば8チャンク。

「金時 ・ 人参」と理解すれば2チャンク。

金時人参」なら1チャンク。

 

記憶容量は7チャンクということなので

この名前を初めて聞く子どもに「きんときにんじん 買ってきて」とだけ言っても、なかなか覚えられません。

が、人参に馴染みがあれば、「き・ん・と・き・人参」の5チャンクとしてギリギリ覚えられる…かも?

金時人参農家のお子さんだったらその物が何かを知っているので「金時人参」1チャンクとして認識。うまくいけば大根も、じゃがいもも一度に覚えてお使いにいけるのかもしれません。

 

自分にどれだけ馴染みがあるのか、どれだけ慣れているのかによって記憶出来る容量が変わる、ということなのです。

 

新!マジカルナンバーは4!

 

このマジカルナンバーの研究はミラーさんの後も続き

2001年にはミズーリ大の心理学教授、ネルソン・コーワンさんが

「いやいや違う。正しいマジカルナンバーは4±1である」と発表。

 

それ以降、このコーワンさんの「短期記憶の限界数は4±1」が定説となりました。

(ですが、未だ7の方がメジャーですw)

 

短期的に一度に覚えられるのは4個程度…

人は、自分が考えているよりずっと、少ないことしか覚えられません。

 

人参・バナナ・信号機・滑り台

…さっきよりだいぶ覚えやすいのではないでしょうか。

 

 

たくさんの情報を取り扱うには

 

ちょっと話しは変わりますが 

要領のいい人は、深く考えなくてもなんとなくその場の直感や応用力で形に出来てしまうことがあります。考える時間が必要ないから仕事も迅速です。

 

が。10個の仕事であれば、整理しなくても全体が見通せていた要領の良い人でも

100個200個の仕事になってくるとそうはいかず、つまずく日がきます。

それでも昔からの要領の良さが習慣となっていて、いつまでたっても「き・ん・と・き・に・ん・じ・ん」のまま力技だけで乗り越えようと…相当なエネルギーを使っていることもあります。

 

  • 自分の能力を超えた大きな仕事を任されて目が回る程の慌ただしい日々を送っているとき
  • やらなければならないことに謀殺されているとき

 

そんな時にやらなきゃいけないことは単純明快

「思考を整理する事」

 

…なのですが…

抽象的すぎますね。「思考を整理する」って…

 

しかも

これまで要領の良さだけで高評価を得ていた人は、なかなか脳の使い方を変えろと言われても難しいのも事実。

混乱している時に、抽象的なことを言われてもなかなか実を結びません。

 

そこで

「思考を整理する」を実際の行動に当てはめてみると

もっとシンプルで具体的なものになります。

それが「身の回りの物を整理する」こと。

脳の使い方を変えるよりまずは

頭の外側から整理して、それを目で見て認識し直すわけです。

身の回りの物を整理していると、思考も強制的に整理されるようになります。

部屋の状態と、頭の中の状態は面白いくらいに連動します。

 

コツとしては「自分が分かれば良い」ではなく

初めての人や他人にもわかるように、ファイリングやラベリングをする。

未来の自分のことも「他人」として動く事が大事なんだそうです。

目で見て手で触れながらできるチャンク化、と言えるのかもしれません。

 

いつも使う机やキッチンなどの環境が「機能的に整理」されているということは、「優秀な秘書がいる」ことと同じ事

 

一度に100個の仕事を与えられても

「今日はこの仕事だけに集中すれば大丈夫です」と

優秀な秘書が、今日必要な資料だけまとめて渡してくれたら…

安心してその仕事だけに集中出来ます。自分の能力も十分発揮出来ます。

 

身の回りを整える。

それが優秀な秘書を自分でつくりだすための習慣でもあるのです。

もちろん、優秀な秘書のおかげで、自分自身もだいぶ楽になれます。

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「包丁どこだっけ」「調理スペースが全然足りない」「洗い物がたまってる」「卵買わなきゃ」「お茶もなかった」「もうこんな時間」

これだけで6つ。

 

それなのに、「醤油大さじ2」「砂糖小さじ1」「大根は銀杏切り」「中火」「蓋して3分…あれ、5分?」

 

秘書がいない、整っていない場所だと

脳の容量オーバーまでのカウントダウンがとても早いので、何度も確認したり、何度も失敗したりします。

(そして結構な割合でその作業は苦手、と思い込んでしまいます) 

 

優秀な秘書がいてくれれば、本当に人生が変わります。

料理番組の調味料は、いつも整理されて置かれています。

まさにあれが「優秀な秘書がいる」状態。しかもその状態は自分で作れます。

 

それにしても4つだと少なすぎる…

 

マジカルナンバー4でもマジカルナンバー7でも。

とにかく人は4つ(もしくは7つ)しか、同時に頭の中で保持したり、系列化したり出来ません。

 

それを補う為にはどうしたらいいのか…これまたとてもシンプルなことです

 

  1. ひとつは繰り返して習慣化すること(今回これには触れません)
  2. もうひとつは、情報を書き出して、目に見える状態にしておくこと。

書き出した物を見ながら、まとめて整理しておく。

思考のファイル化とも言います。

「き・ん・と・き」の文字の並びが「金時」のことか!と整理されるだけで少し楽になります。それが、客観的に見ながらまとめて整理するということ

 

限界を超えろ

冒頭の7つの単語

 りんご・消防車・人参・えんぴつ・スカート・ひまわり・ダイビング

 

少しまとめてみます

 りんご・人参

 スカート・えんぴつ・ひまわり

 ダイビング・消防車

 

「スカートの子が鉛筆でひまわりを描いている」という風に、イメージがつくともっと覚えやすくなります。

 

脳の限界容量を超える為には

思考を整理し、いくつかの情報を「ひとつのまとまり」としてイメージする事

 

「仕事帰りに手紙を出して、その隣のスーパーで買物をして」

前もって一連の流れを「ひとつのまとまり」として整理しておくこと。

たったそれだけのことが、自分を助けてくれるのです。甘く見られがちですが…

 

身の回りのチャンクを見渡すと…覚えやすい仕組みに囲まれている

 

初心者が英単語を覚え難い理由が、まさにこのチャンクの問題なんじゃないかなと思っています。

S・U・M・M・E・R

で、6チャンクの状態だと、100個の単語を覚えるのはちょっと難しいかもしれません。

漢字も似てます。一画ずつ、縦横斜め…と考えているうちは一文字だけで脳の容量はいっぱいになります。

 

覚えやすい単語は4チャンク以下?

 

AKBは、「A・K・B」の3チャンク(「あ・き・ば」で覚えても3チャンク)

モーニング娘。は、「モーニング・娘。」で多分2チャンク

 

ももいろクローバーZは、「ももいろ・クローバー・Z」、で3チャンク

ですが、通常は省略される事も多いですね。ももくろ。

「も・も・く・ろ」=4チャンク

桃色?赤色?緑色?…といった単語そのものを失念してしまうことが防げます。 

 

アラウンドサーティーは、アラサー

パーソナルコンピューターは、パソコン

NHK教育テレビジョンは、Eテレ

地方デジタル放送化では鹿のキャラクターを使って、イメージからチャンクをまとめました。

 

人間が一度に覚えられるのは4つ程度。

一般に浸透している言葉は、意図的か無意識か

マジカルナンバー4を意識していることが多いような気がします。

長い言葉には、だいたい、覚えやすい4チャンク以下で略語がつくられて浸透しているもの。

 

凝った名前の美容室とかオシャレなカフェ

横文字で、チャンクのまとまりも弱い時

なかなか覚えられないことはありませんか?

私は良くあります。すごく苦手です。…何語?

 

店頭に並べる商品の数も

 

多すぎると短期記憶の数を超えてしまい選択疲れを引き起こします。

疲れない為には、商品の種類は多くても4±1種類くらい。

販売戦略によく使われる心理学(ジャムの法則)でも、種類が少ない方が購入率が高いという結果が出ています。

 

逆に、たくさんの商品が置いてあるお店だと錯覚させたいのなら

 

短期記憶の数(4±1=3~5)を超えるだけの種類を並べればいいということ。

たとえばカテゴリ数が多いホームページは、それだけ情報が多いような印象を与える事が出来ます。

(それが良いか悪いかは別として) 

 

限度があるから外に出そう

 

脳が一度に取り扱える情報量には限度があるからこそ

書き出して(出力して)目に見えるようにする。

 

地味な事なので軽く見られがちですが、かなり大切なことなのです。

 

もし忘れても、

書いた物を見て思い出す事が出来ます。

書いてしまえば忘れられるので、

マジカルナンバーの容量を解放することにも繋がります。

客観的に目で見る事によって、

情報同士の関連性や、重要度もわかりやすくなっていきます。

 

書いて、それを目で見て、声に出して読んで、それをまた耳から聞いて

そうしていくことで、情報が二重三重、色んなルートで脳に刻まれ

より忘れにくく、より整理しやすく、より疲れにくくなります。

自分が楽でいられます。

 

 

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誰かに怒りをぶつけている時

誰かを叱っているとき

 

「そう言えばあの時もそうだったよね~」「コレも同じ事だけど~」「ついでに言うと…」

そんな言葉を付け足しては4±1を超える内容を話していませんか。

 

たくさんの話を一度にぶつけて

それでいて、相手がボンヤリしてきたところで「全部ちゃんと聞いてた?わかった?」「なんで聞いてないの?」とさらに怒る人がいますが

…人間だからしょうがない…としか言えないのです。

人の脳は同時に4つくらいしか覚えられません。

怒られて自律神経が乱れている時は、もっと少ないかもしれません。

怒って言葉が増えれば増えるほど相手の心には残りにくくなっていく。

皮肉なものですね。 

 

 

 

そしてこの記事も

4つ以上、話しが展開しているので、短期記憶の容量を軽く超えているのだと思います。(ノ∀`)

でもいいの。2日に渡って書きたくなかったのw

 

プロ野球ニュースを横目で見ていて「マジックが〜」の単語をきっかけに思い出したので記事にしてみました。健忘録です。

 

追記

応用していくと、家にハサミが10本あっても管理できない、ってことになるんだろなー

専用の用途がはっきりしてるなら別として…

「人は、自分が考えるほど多くの物は管理できない」

ぐぬぬ(  ー̀ωー́ )